発動! エアフロ置換計画

                                          「エアフロ置換委員会」
「今日から新たな計画を推奨する。会長には提唱済みだ。」
「まさか、あれを ・ ・ ・ 」 
「そうだ。かつて誰もが成し得なかった神への道、エアフロ置換計画だよ。」



PIAZZA(61年式XS)エアフロ改の菅原です。
ちょっとフザケ過ぎましたが、かねてから研究中の「エアフロ置換計画」は、
「一応」現実の物となりました。現在、私のPIAZZAのエンジンは、シルビア
(PS−13)のエアフロで回っています。


「エアフロ」とはエンジンが吸い込む空気量を計測する物である。幾つか方式が
あるが、ノーマルのエアフロ(JR-120)ではフラップ式が採用されている。
これは空気の通り道に板(フラップ)が有り、風量に応じてその角度が変わる
事から空気量を計測する。
このフラップが吸気抵抗になるので、日産車に多く採用されているホットワイヤ式
に置き換えようというのが「エアフロ置換計画」である。
(因みに国産車で初めてホットワイヤ式を採用したのはDOHCのJR-130だった。)

ただしノーマルのエアフロとシルビアのエアフロではエアフロ出力特性が異なり、
そのまま交換は出来ない。
本来はコンピュータのデータを書き換えて対応するのだが、解析できていない
ので、今回は「補完基板」を作成した。

 

   「補完基板」


「補完基板」は、シルビアのエアフロの出力電圧を入力し、同じ空気流量に相当
するノーマル・エアフロ出力電圧に変換する。原理としては、シルビアのエアフロ
の出力電圧をA/D変換しROMのアドレスデータとして与える。ROMには補完
マップデータを書き込んでおき、ROMのデータ出力をD/A変換して出力する。
この補完マップデータを作成する為に、実走行で2つのエアフロの出力電圧を
「データ・ロガー」で記録する。ノーマルエアフロとPS13エアフロは直列に配置
し、同一の吸入空気量での、出力の比較が出来るようになっている。

 

 「データ・ロガー」


「データ・ロガー」とは,ある信号(ここではエアフロ電圧)を記録する機械である。
今回はこのデータ・ロガーも Z−80を使って自作したが、コントロールソフトは
かなり手抜きしており、操作方法でカバーしなくてはならない。

ノーマルエアフロは、フラップのオーバーシュートがあるようで、勢いよくアクセル
を踏むと、フラップ自身の慣性で一瞬正しくない値を出力する事がある。
そこで、データの取り方にもコツがある。他車のいない直線の道路でじわじわと
アクセルを踏み込んで行き、ノーマルエアフロ出力電圧が最大出力に達したら
即、データロガーの電源を切る。
しかしこれも問題があり、データロガーの電源を切るとデータロガー自身が負荷
となってノーマルエアフロ出力電圧が低下してしまう。フルスロット時にこうなると
リミッターが効いた様に回転が落ち、アクセルを踏み込むと強力なハンチングの
嵐に見舞われるという極めて危険な事態に遭遇する。
正に命をかけてのデータ取りだ。

こんな事で事故っても困るので、その対策を取った上で名神高速にてデータを
取った。取ったデータを編集しROMに焼き付けるのだが、これが曲者だ。
取ったままのデータはノイズ等の誤差も有り、そのままでは使えない。
また、データの変化のカーブが不自然なポイントが有る。特にアイドリングより
下がひどい。バッテリー電圧の変化の影響か?
(文献によると日産ではバッテリー電圧の変化を補正しているとの記述もある)
とにかくデータを編集しROMに焼き付け、そのROMを「補完基板」に挿して
「連動実験」に入る。

以前から装備していた「エアフロ電圧計」は2台に増え、一台はノーマルエアフロ
出力電圧、もう一台は「補完基板」で処理したシルビアのエアフロ出力電圧だ。
「補完基板」が正常に稼動すれば、2台のエアフロ電圧計は常に同じ動きをする
はずだ。 ゆえに私はこの実験を「連動実験」と呼んでいる。

 「ツイン・エアフロ状態」


中央下が「PS-13シルビアのエアフロ。
その右がPIAZZAのエアフロである。

つまり、同一の空気流量で、2つのエアフロ
の出力を同時に計測する。

初回「連動実験」の結果は、「シンクログラフ誤差は、最大で±2ポイント」、
およそ±0.66Vの誤差であった。ここからは実走行データを基に追い込んで
行く事になる。
いよいよノーマルエアフロを撤収し、シルビアのエアフロのみで走る訳だが、
新たな使徒・・・じゃなくて問題が発生した。 ノーマルのエアフロを完全に外して
しまうとECGIの自己診断でエラー表示が出る。回転も、まともに上がらない。
ノーマルのエアフロと同じ値の抵抗器をダミーとして取り付けたが駄目だった。

とりあえずノーマルのエアフロは助手席に転がし、配線は接続したままにして
「起動実験」に入る。


左下に見えるのが、ノーマルのエアフロ。
もちろん吸気は通っておらず、電気的な配線
の一部のみ接続されている。

後日、この代わりに挿入する「ダミープラグ」の
開発に成功し、このエアフロは撤収された。

「起動実験」は、セル一発であっけなくエンジン始動。アイドリング状態も特に
異常は認められないので、実走行テストに移行する。

まず驚いたのが吸気音の大きさである。ターボが効き出すと、「シュゴー」
アクセルオフで「プシュルルル」 、その気にさせる音である。
体感でも結構パワーアップを感じる。(気分的な物? しかしエアーフイルタを
HKSのパワーフローに換えた時よりも差は大きい事は確かだ)
その後、「補完基板」のデータを2回書き換えて現在に至る。夏/冬の外気温度
の差や標高の高い場所での気圧差での問題はなく、PIAZZA meeting や イスズ
オーナーズミーティングなどのロングツーリングにも出かけたが、特に大きなトラブル
は無い模様だ。
あえて言うと、チューニングした日産車に有りがちな「タービンからの吹返し」の影響
を受ける事ぐらいだが、通常の市内走行では弊害は無いと判断している。

調子に乗ってパワーチェックにかけたら、184.3馬力をマークした。
もちろんマフラーやブーストUPなどの総合結果であり、エアフロだけで
パワーUPする訳ではない。
また、あくまでもシャーシダイナモ上での数値ではあるが・・・。


 あとがき:

フラップ式からホットワイヤ式に置換するのは、変換回路さえ作れれば、
比較的やり易い方法かもしれません。(前例は、見ないが・・・)
吸気温度や、気圧差の補正は要らないからです。


アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」の中で出てくるセリフのパロディが多用されて
いますが、私はオタクではありません。(でも嫌いでは無いんだな・・・これが)
これを言っとかないと、「意味不明の言葉」が多いので・・・(笑)

あと、「エアフロ置換計画」は「エアフロちかんけいかく」と読みます。
「おきかえ」とは読まないでくださいね。


「ピアッツァに乗ると、みんなほめてくれるんだ・・・」 (うそ)

第2期エアフロ置換計画 も有るのでいずれUPします。         

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                                                 sub3b:   2001.08.05